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【花蓮趣NO.42】こだわり工芸》工芸・記憶 生活感を編む月桃戲

  • 公開日:2022-12-01


ルカイ族とパイワン族の伝統家屋は石板造りで、部落の女性は手編みの月桃ござを石板の上に敷き、冬は保温、夏は断熱に役立てています。都市化に伴う石板家屋の減少で、月桃編みは高齢女性しか作れなくなり、その途絶えかけていた記憶を、黄芳琪さんがその手で呼び起こしました。

 

文/陳沉 
写真/黄芳琪、編集室

 


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平凡の中にある平凡でない匠の精神

「花蓮は表情がすぐに変わる場所。中山路からたった30分で海にも山にも行ける」そう語るのは桃園出身の「月桃戲」のオーナー、黄芳琪さん。大学の社区営造の授業で部落を訪れ、月桃のことを知った黄さんは、台東の大学院に進学後、偶然訪れた花蓮の独特な地理環境にひかれました。同時に山一面の月桃が使われていないことを知り、月桃編みを伝えようと花蓮定住を決めました。

 

月桃編みを習い始めた頃は、挫折続きだったという黄さん。ルカイ族、パイワン族の女性にとっては平凡な月桃編み。それを習いたいと申し出た時、部落のお母さんたちは不思議に思ったそうで、教える約束をしても、約束した時間に現れないこともよくありました。約束をすっぽかされても諦めず、別の人に習うなどを繰り返しているうちに、お母さんたちと親しくなり、次第に教えてくれるようになりました。

 

 

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お天道様の顔色次第めげずに柔軟に対応

月桃は多年生植物で、地形に関係なくよく成長します。4月から8月が開花、結実の時期で、黄さんはサステナブルに配慮し、種撒き後に1年分を1度に収穫。その次は天日干し作業ですが、黄さんは2つ目の挫折に遭遇。花蓮は湿気が高く、かつ近年の気候変動により、空気が乾燥するはずの秋に雨が降り、最低で1週間、最長で3か月も干さなくてはなりません。そんな気候を克服するための対応策も考えなくてはなりませんでした。



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月桃戲の遊び心伝統から新しさを

一般には知られていませんが、月桃の葉は短く柔らかいため、月桃編みには適さず、実際には葉鞘が使われます。月桃製品を豊富に見せるため、黄さんは泥染で濃淡をつけた製品や、サンセベリア、アダンなどの異なる素材を開発。現在花蓮市博愛街の路地にある「月桃戲」はその努力の結晶で、作品や月桃収蔵品の展示を兼ねたアトリエになっています。また、工芸と記憶の伝承という開店の初心も忘れず、原住民部落のお母さんたちの月桃編みが体験できるDIY予約も受け付けています。

 

INFO|月桃戲
所在地:花蓮市博愛街159巷2号
電話:0919-187684
営業時間:14:30-21:00(火曜・水曜定休)
お手洗い:なし