花蓮では1911年から1924年にかけて、台湾総督府の移民政策によって移民村が建設されました。中でも、寿豊郷の豊田移民村は、現在でも比較的保存状態の良い場所です。碁盤の目状の道路、和風民家、菸楼(タバコ乾燥小屋)、鳥居が残るほか、豊田小学校(現在の豊裡小学校)、豊田神社(現在の碧蓮寺)といった日本統治時代の歴史の跡も街中で見られます。豊田移民村時代の警察派出所が、改築を経て「寿豊郷文史館」として整備されています。現地の歴史史料や、当時よく使われていた農業・生活道具などを展示することで、地元の歴史を見学者に伝えています。館内には各種古い農具、昔の写真、豊田玉(豊田産のネフライト)が陳列されているほか、壁の展示には豊田と住民の物語が綴られています。また、美しいパッチワーク財布、エコバッグをはじめ、パッチワーククラスのお母さんたちが製作した作品も販売されています。同館は2011年に「寿豊郷客家生活館」に改名され、歴史と人文、創作、客家文化が一体になった歴史文化施設となっています。