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錐麓古道脇の峡谷は、緻密で崩落しにくい大理岩で構成されています。地形の隆起と立霧渓の強い下刻侵食作用により、三角錐山の南東の尾根が切断され、ほとんど垂直に近い岩壁が形成されました。それが立霧渓を隔てて福磯断崖と相向かう、今日のような険しくも雄大な錐麓断崖の風景を生み出しています。 硬くて水分を含まないという大理岩の特質から、古道にはほとんど植物が生えていません。古道を進みながら下を見下ろすと、落差がとてつもなく大きい切り立った崖と、太魯峡谷の巨大な裂け目のように滔々と流れる立霧渓が見え、険しい峡谷と断崖の風景にドキドキさせられます。 安全面への配慮から、錐麓古道は長年封鎖されたままになっていましたが、近年のエコツーリズム推進と史跡保存の取り組みに合わせて、全長10.3キロメートルの古道修復作業が続々と進められています。現在は最初の3.1キロメートル、錐麓吊り橋から断崖駐在所までの区間のみ開放されており、中に入るには入園許可申請を行う必要があります。