県花の由来:
(一)花蓮を逆さに読むと同じ音になり、覚えやすいことから。
(二)「泥より出でて泥に染まらず」と言われるハスの花の清らかさと、花蓮は台湾の最後の浄土であるという意味を重ね合わせ、同工異曲であるとの考えから。
(三)呉水雲県長在任中の1980年に選定。
蓮花の基本データ:
ハスは多年草の植物で、茎は地下茎、はっきりとした節があり、泥の中に生え、葉は大きく茎は真直ぐに立ち、夏になるとピンク・黄色・淡い紫色・白の花を咲かせます。花は大きく、一重咲きのものと八重咲きのものがあります。花が咲き終わると花托の中に実をつけます。
一、学名:
二、英名:
三、中国名:蓮花、荷花、菡萏 、芙蓉....
四、根:ハスの根は不定根で、茎の節から根を出します。
五、茎:茎は根茎で、成長の初期段階は細く、成長すると太くなって、「レンコン」になります。
六、葉: 生えたばかりの頃は非常に小さく、直立することができません。水面に浮くようになったものは「浮葉」と呼ばれ、1株あたり約2~3枚の浮葉が付きます。4番目以降の水上に立ち上がった状態の葉は「立葉」と呼ばれ、立葉は横に伸びる茎の節が増えるにしたがってますます長く大きくなり、節は最大5~7節まで伸びます。その後生じる葉は突然小さくなり、これは「止葉」と呼ばれ、止葉が発生するとその後はもう新しい葉が生えることは無くなります。葉は若い頃は内側に巻いていて筒状になっており、水面に出た後展開して丸い盾のような形になります。葉の表面にはたくさんの気孔があり(葉の裏側には無い)、気孔の奥には気室があり、そのさらに奥は葉柄や根茎の気道と繋がっています。
七、花:花は大きくてとても目立ちます。雄雌同花で、単生し、放射相称の子房上位花です。萼は4~5枚、花弁は約9~17枚で、たいていは多くても12~16枚程度です。花托は逆さ円錐形で、雌しべは花托の中に埋まっており、雄しべは花托を取り囲むように花托の下に付いていて、花梗があります。
八、種子:子房、子房室、種皮、子葉2枚、胚芽。
ハスの用途:
ハスは全体が宝です。戦国時代の様々な漢方の利用経験をまとめた『神農本草経』の中にも、レンコンの薬用や健康の効果が記述されています。また、明朝の李時珍は『本草綱目』の中でハスをさらに何倍も賞賛し、「ハスは泥より出でて泥に染まらず、水の中に居て水に没せず、根・茎・花・実とも普通のものとは異なる。清浄で全て役に立ち、様々な素晴らしい効能を得ることができる」と述べ、ハスはその全体に薬としての価値があることを説明しています。ハスの花とレンコンとハスの実は全てとても栄養価の高い食品であると同時に、レンコンの節部分には清熱解毒の作用があり、ハスの実は滋養強壮・精神安定・下痢止めなどの効果があり、ハスの実の芯の部分は清熱・精神安定・血圧降下、ハスの花托は化瘀止血、ハスの花は夏バテ解消、ハスの葉は胃や止血などに効果があります。このようにハスはほとんど全ての部分に特別な効能があり、経済的価値の非常に高い農作物であるということができます。ハスの効能をまとめると以下の通りです。
一、ハスの花:蓮茶として飲むと暑さを和らげるほか、止血にも効果があります。
二、ハスの花托とハスの実の芯:精神安定、止血および清瀉肝火の効果。ハスの実の芯には清熱・精神安定・固精・血圧降下のほか、高血圧の治療やほてり等の症状に効果があり、通常人に対する薬用として用いられます。
三、ハスの実:ハスの実には澱粉やタンパクおよび様々なビタミンが豊富に含まれていて甘みと渋みがあり、平性で、精神安定、脾や腎の機能を高め、止血の作用があります。『本草綱目』には、ハスの実は「心腎を交え、腸と胃を厚くし、精気を固くし、筋骨を強くし、虚損を補い、耳目を利し、寒湿を除く」と記されており、動悸や不眠、脾や胃の虚弱、男性の遺精、女性のおりもの過多、月経過多および下痢の治療に効果があります。ハスの葉:ハスの葉飯を作ることができます。乾燥させたハスの葉は脾臓の機能を回復させて活力を増進し、新鮮なハスの葉は暑さを和らげ解熱する効果があります。
四、レンコン:ビタミンC、ビタミンB1・B2、タンパク質、アミノ酸、炭水化物などを含む、とても栄養価の高い野菜です。レンコンは甘みがあり寒性で、涼血や化瘀の作用があり、よく火を通したものは甘味があり温性で、胃と心の機能を高めます。野菜として生で食べることもできるほか、粉状に加工しお湯で溶いて飲むこともできます。
五、生レンコン:寒性で甘くひんやりとして、胃に入ると瘀血を解消して血熱を緩和し、体の内部の熱を冷まして渇きを抑え、食欲を増進させます。女性は産後に生冷の飲食物を食すことはタブーとされていますが、生のレンコンだけは食すことができます。
六、火の通ったレンコン:温性で、胃の機能を高めて陰を潤す効果があります。レンコンの節にはタンニン酸が豊富に含まれていて血管を収縮させる作用があり、止血や吐血・喀血・血尿・血便・子宮出血などの症状の治療に役立ちます。
七、ハスの雄しべ(蓮鬚):固精や止血などの効果があり、生でも炒めても食べることができます。
八、ハスの茎:気の流れを良くし、胸のつかえをすっきりとさせ、乳の出を良くします。
九、ハスの葉の付け根:安胎や下痢止めとして効果があります。
十、ハスの葉:物を包むことができ、とてもエコで、しかも清々しい良い香りがします。
ハスの花おもしろこぼれ話:
「ハス(蓮)」と「レンゲ(蓮華)」と「スイレン(睡蓮)」がどう違うのかよくわからない、という方も多いのではないかと思いますが、実は「ハス」と「レンゲ」は同じものです。ただ、「レンゲ(蓮華)」は主にその花を指し、「ハス(蓮)」はそもそもハスの種、つまり実の部分を指す言葉なのです。 ただし「ハス」と「スイレン」は全く違います!水位の高低に関わらず、睡蓮の葉は必ず水面にぴったりと付いており、花だけがわずか数センチほど水面より高く出ています。そして花托もレンコンもありません。ハスの葉は成長すると水面に浮き、その後立葉となり、風に吹かれると葉が波のようにゆらゆらと揺れます。ハスの葉の表面は平らで産毛が生えており、水を弾くため、水滴がまるで真珠のように葉の上を転がる様子を度々見ることができます。(エングラー分類体系では)ハスもスイレンもスイレン科に属していますが、この2つはその葉が異なるばかりでなく、花の蕊(しべ)のつくりも異なっています。そのためハスはハス属、スイレンはスイレン属と、それぞれ違う属に分類されているのです。