豊作の秋は、山にも海にも原住民色豊かな料理が満載。縦谷の光復郷馬錫安山麓と豊濱郷石梯坪海岸では、地元の旬を取り入れた「スローで上質」な食文化を発信。食欲の秋はぜひスローフード拠点で原住民の味をご堪能ください。
文・写真/Yoti薛(薛永廷)
アミ族の山菜採り文化|紅瓦屋老地方文化美食レストラン
2大アミ族部落の一つ、馬太鞍(ファタアン)部落でぜひ味わいたいのが部落の伝統料理。紅瓦屋老地方文化美食レストランの石鍋は、蛇紋石の割れにくい特性を利用し、焼き石を鍋に入れて魚を調理。先人の知恵が伺える一品です。また、魚の塩焼きも来店客が必ず注文する看板料理です。
必要なだけ採るのがアミ族の山菜採り文化。甘い余韻のある苦みが、各種山菜の共通点。店では地元の山菜採りの女性とも連携し、スローフードの普及に取り組んでいます。大皿料理とセットメニューがあり、季節折々の食材と原住民特有の調理法で、スローフードの良さを伝えています。アミ族の山菜料理が得意なシェフの林鳳廷さんは、彫刻家でもあり、伝統文化と木彫りを取り入れた空間で、美食を味わいながら、部落文化の美しさにふれることができます。
INFO|紅瓦屋老地方文化美食レストラン
所在地:花蓮県光復郷大全街62巷16号
電話:03-8704601
営業時間:11:30-15:00、17:00-19:00(木曜定休)
お手洗い:あり
原住民芸術と味覚の饗宴|項錬海岸工作室
豊濱港口部落付近の「項錬海岸工作室」。園内のブランコや木製椅子はすべて爾嬈・徳菲兒さん3姉弟の作品。特に太平洋に面した三日月ブランコはインスタでも話題です。項錬(首飾り)海岸の名は、昔アミ族の勇士が海岸に首飾りを落としたという伝説に由来。光が海岸を照らすと、今もここを守っているかのように光輝きます。爾嬈・徳菲兒さんは観光と生態系保全の両立を目指し、物語を通して部落の文化を伝えています。
ここでは風景とアートはもちろん、予約制のお任せ料理もお見逃しなく。前菜は長虹橋近くで捕れた、淡水と海水の境界に生息する柔らかなボウズハゼの稚魚。月が昇る間だけ活動するといわれる、身の引き締まったヤコウガイ。ちまき風の月桃飯は、豚肉や干しエビをもち米で包んだもので、さわやかな月桃葉の香りが楽しめます。ぜひ項錬海岸工作室で、心も味覚も大満足のスローフードの饗宴をご堪能ください。
INFO|項錬海岸工作室
所在地:花蓮県豊濱郷石梯坪53-1号
電話:0916-547580
営業時間:10:00-18:30(ランチ11:30-15:30)
お手洗い:あり