台湾最大の有機栽培面積を誇る花蓮は、有機コーヒー栽培を農家に推奨しており、現在有機コーヒー認証取得農家が最も多い産地です。2021年からは有機コーヒーも花蓮県コーヒー品評会の対象となり、上質な絶品コーヒーを選出することで、北緯23.5°が育む自然の恵みを多くの方々にお届けしています。
文/陳沉、林雅卿
写真/編集室

山で定年の夢を実現|一斗夢コーヒー農園
「夢の大きさ?一斗枡で測ってみるか」と、農園のご主人・黄則恭さんは自身の有機コーヒー事業を表現します。水璉村育ちの黄さんは、2014年の定年退職後にゼロから有機コーヒー栽培を開始。当初は雑草で農地が耕せず、道を切り開く必要がありましたが、幸い花蓮県政府の支援もあり、徐々に今の農園の形ができたといいます。
コーヒーの栽培はもちろん、精製作業も大切です。機械購入に資金を投じ、見学や研修で精製を学んだ黄さんは、今や花蓮コーヒー品評会の常連受賞者となるほど、高い評価を受けています。そのコーヒーは大変個性的で、高温では酸味がなく、温度が40~50度に下がると、酸味が最大限に引き出されます。最後はかすかなコーヒー香と甘い余韻が広がり、大変魅力的な味わいです。
INFO|一斗夢コーヒー農園
所在地:花蓮県寿豊郷水璉村北坑3-10号
電話:0928-299869
営業時間:電話予約
お手洗い:あり

山奥の上質コーヒー|917有機農場
「妊娠後から花蓮へのUターンを考えていました」と農場の女主人・黄怡瑄さんは振り返ります。13年前、黄さんとご主人の李錦智さんはまだ新竹科学園区のエンジニアでした。ようやく恵まれた子どもを理想の環境で育てるため、2人は故郷の玉里高寮に戻って農業に従事。模索を経て有機栽培の道に進み、子どもの出生時刻9時17分でブランドを立ち上げました。
赤科山にある917農場は、金針花、コーヒー、キバナタカサブロウ、ローゼルなどを栽培。コーヒー栽培を始めたのは、スマトラの「ティピカ種」の育種をおじに頼まれたのがきっかけ。苗が成長しても、おじが海外から戻らないため、そのまま栽培を続けた結果、2,000本以上までに増えたそうです。二人は花蓮コーヒー品評会に出品するも順調とは言えず、何度も調整を行い、ついに2021年に有機コーヒー部門で特等賞を受賞。梅の香りが特徴で、特注焙煎も可能です。黄さんは今年「百大青農」に輝き、その評価が二人の励みになっています。ご夫妻にとって農場は家と同じで、917の商標のように、子どもも作物も健康な環境で育ってほしいと願っています。
INFO|917有機農場
所在地:花蓮県玉里鎮高寮264-1号
電話:0933-087137
営業時間:08:00-18:00
お手洗い:あり