長年蜜香紅茶の普及に取り組んできた花蓮県は、県政府と茶農家の努力により、「蜜香紅茶の里」と評されるまでに。瑞穂舞鶴台地、玉里赤科山、富里六十石山で生産される上質な茶葉は、品評会でも高評価を獲得し、今や花蓮の蜜香紅茶は台湾の特色茶であると同時に、世界に誇る高級茶でもあります。
文/林雅卿
写真/編集室
蜜香紅茶の達人|嘉茗茶園
瑞穂嘉茗茶園のご主人高肇昫さんと奥様の粘筱燕さんは、20年近く前に有機農業に身を投じ、蜜香紅茶の開発に取り組みました。ウンカに噛まれた茶葉が発酵後に放つ独特な蜜の香りが人気を呼び、2006年に国際コンテストで金賞を受賞。その後、地元の茶農家を率いて蜜香紅茶産業を推進し、害虫扱いだったウンカも、金賞茶の立役者と見なされるようになりました。
神農賞の受賞者でもあるご夫妻は、茶園管理と製茶技術へのこだわりが評価され、毎年受賞を重ねています。茶園にはガイドツアーを提供する蜜香紅茶生態故事館も併設されていますので、ぜひ舞鶴で休憩ついでにお茶を堪能し、秋の温もりを感じてみてください。
INFO|嘉茗茶園
所在地:花蓮県瑞穂郷舞鶴村一隣65 号
電話:03-8871325
営業時間:08:00-21:00
お手洗い:あり
露に育まれて|赤科農場
赤科農場3代目の陳期泓さんにとって、農業の思い出といえば、毎年夏休みの金針花収穫。卒業後は台北でマーケティングに携わり、帰郷後も農場の宿泊などレジャー面に関心がありましたが、近年農場の業態転換を受け、蜜香紅茶作りに乗り出しました。正しいと信じる有機農法に取り組むものの、順調にはいかず、初参加の品評会で落選。その後修行を兼ねて各地のベテラン製茶職人を訪ね、2年目で優良賞を獲得後、銅賞、銀賞と順位が上がり、ついに2021年に金賞受賞を果たしました。
陳さんが立ち上げた新銘柄「露予茶盛」は、早朝の軒下に滴り落ちる露を見て、太平洋の湿気が海岸山脈を越え、赤科山の茶樹に滋養を与えているのだと感じたことから名付けたもので、「茶聖陸羽」に習うという意味もあります。六十石山出身の奥様と知り合った当初の甘いエピソードが秘められた茶梅や茶飴も販売のほか、陳さんが丹念に企画した「茶香ツアー」では、至るところが茶席という独特な体験が楽しめます。
INFO|赤科農場
所在地:花蓮県玉里鎮観音里高寮284号
電話:03-8851695
営業時間:09:00-20:00
お手洗い:あり